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ハンググライダーとは、 アルミパイプの骨組みと布の翼で出来ているグライダーを、 文字通り担いで離陸して、空を飛ぶスポーツです。 グライダーですから動力はありませんし、 離陸も着陸も人間が担いで走らなければなりません。 このため、300mから700mぐらいの山の斜面から離陸して、 河原や畑に着陸するのですが、 単に滑空するだけでしたら5分程度しか飛べないのです。 しかし、機体を上手に操縦して上昇気流をうまく使えば、 高度1500mもの雲の中を飛んだり、 30kmもの距離を無着陸で飛んだり、 3時間以上もの長時間を飛んだりすることも 1〜2年程度の経験で十分可能なのです。 |
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よく『ハンググライダーとパラグライダーってどこが違うの?』 との質問を受けますが、構造的な一番の違いは骨組みの有無です。 パラグライダーの翼は楕円形の布だけで骨組が無いのに対して、 ハングライダーの翼はブーメラン形でパイプの骨組みが有ります。
また最近『モータハンググライダー』や『モータパラグライダー』 なるものも登場していますが、エンジンの有無以外は基本的に同じ構造です。 これらに共通していることとしては、 いずれも『人間の足で離着陸する』という点です。 この一点が、法的規制のある『小型飛行機』や 『マイクロライトプレーン』と異なります。
ハンググライダーとパラグライダーの比較表
ハング パラ 滑空比 優れている 悪い 飛行速度 速い 低速 離陸の難易度 難しい 難しい 着陸の難易度 難しい 簡単 離着陸の安全性 やや危険 やや安全 上空の安全性 安全 やや不安定 練習期間 長い 短い 運搬 キャリア要 乗用車で十分 初期費用 高い やや高い 機体の寿命 長い やや短い 上記の表は一部、筆者の経験による主観的な意見もありますのでご容赦下さい。 滑空比はやはりハンググライダー(以下HG)が優れています。 構造的に空気抵抗も少なく、翼自体も奇麗な流線形になっています。 飛行速度はHGで時速25〜80km(通常35km程度)、 パラグライダー(以下PG)で、 15〜45km程度(通常20km程度)と、 ほぼ2倍の開きがあります。 離陸はどちらも難しいと言えます。 PGは陸上ではだらっとした布の状態ですので、 うまく翼の形にするためには、 きめこまかい操作が必要です。また、HGは骨組みがあるので、 この問題はありませんが、 重い機体を担いで水平を保ちつつ走るのが簡単ではありません。 着陸は低速で小回りのきくPGのほうが簡単です。 安全性ですが、HGでは離着陸でリスクがあります。 失敗によって地面に激突した場合、速度が速い分、 怪我の確率が高くなるためです。 PGはこの逆ですが、上空の乱気流の中を気づかずに飛ぶと、 翼がもみくちゃになってしまい、 まれなケースではそのまま墜落してしまうため、 飛行コースや目に見えない空中のコンディションを見極ることが重要です。 練習期間はPGの方が短くて済みます。 最短では5〜6日間での卒業も夢ではありません。 運搬ではPGの方が楽です。登山のリュック程度までで収まります。 初期費用は、スクール費や機体の費用の差で、 ややHGの方が高くなります。 機体の寿命ではPGはやや短くなります。 構造が薄い布のためデリケートで、 地面で擦られたり日光の光で劣化すると、 気密性が低くなり性能が悪くなります。
ハンググライダーを楽しむのに免許はありませんが、
社団法人「日本ハンググライディング連盟(JHF)」
という団体が発行する『技能証』というものがあります。
これは、JHFに登録されたスクールで実技と学科の講習を受けており、
一定の知識と技術を習得していることを証明するカードです。
この仕組みは海のスポーツであるダイビングとよく似ています。
つまり、法律的に無免許で捕まるといったことはありませんが、
実際問題として何の知識も技術も無しに行おうとすると、
命に関わる事故となってしまうのです。
なお『技能証』には5つのレベルがあり、車の教習所にたとえると、 1人では公道を運転できない教習中の『仮免』が『A級』。 とりあえず一人前扱いとなる『正規の免許』が『B級』。 初心者マークをはずせない1年間が『C級』。 晴れて一人前となるのが『P級』。 3年以上のベテランドライバー扱いが『XP級』といったところです。
現実問題として、『B級』を取得しないと、山から飛ぶことはできません。
また、『P級』を取得するまでは、『P級』以上の引率者なしでは、
山から飛ぶことはできません。
JHFが定めた課程を修了し、 実技検定および学科検定に合格すると、 ハンググライダー技能証を取得することができます。 各技能に求められるレベルの一部をご紹介いたします。
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ハンググライダーを楽しむためには最低限、 離陸する場所と着陸する場所が必要ですが、 どこでも飛べるというものではなく『フライトエリア』 として管理された場所でフライトを楽しむことになります。 ほとんどの場合、離陸する場所は、 国や市町村が所有する山の山頂付近の木を切って整地させてもらい、 着陸する場所は同じく河原か、 個人が所有する畑をお願いして貸してもらっており、 当然の事ながら日々の管理や費用が発生します。 この管理組織はエリヤによってまちまちですが、 以下のような形態があります。いずれにしても営利目的であることはあまりありません。 誰かがやらないと飛べないので、 代表して運営管理して下さってる方々のお陰でエリアが成り立つ訳です。 せめて自分の出したごみぐらいは、 持ってかえるぐらいの気遣いはほしいものです。
- 管理の主体
- ・市町村の観光課などが管理している
- ・地元のハンググライダーショップやパラグライダーショップが管理している
- ・地元のハンググライダー愛好家がボランティアで管理している
- 管理の内容
- ・離陸場所、着陸場所の所有者との連絡窓口
- ・地元団体や住民との連絡窓口(事前のご挨拶や苦情対応)
- ・フライト関連のクラブや愛好家との連絡窓口
- ・離陸場所、着陸場所の草刈りや整地
- ・トイレや注意書き看板等の設営
- ・技能証のレベルを確認してエリア利用の登録を受付 (エリアにより利用できる技能証レベルが決まっています)
- ・エリア利用料の徴収と管理 (1年単位の登録制で、無料〜12、000円とばらつきがありますが、 関西では10、000円前後が多いようです)
ハンググライダーは春夏秋冬、1年を通じていつでも飛ぶことができます が、いわゆる「ベストシーズン」はあります。
春
最も適したシーズンであるといえます。 この時期は強い上昇気流もよく発生しますし、 田植え前であれば乾いた地面も多いため、 上昇気流の発生場所も多くなります。 夏
どちらかというと適さないシーズンであるといえます。 空気が乾燥しているので、 普段では上昇できない高度まで上昇する可能性は高いのですが、 簡単ではありません。 また、山の離陸場所が北向き〜西向きに整地してあることが多く、 南風の吹くこの季節は離陸すらできないことがあります。 秋
春の次に適したシーズンであるといえます。 冬
一長一短のシーズンであるといえます。 強い北風の吹くこのシーズンは、 山の斜面に吹き付ける風を利用して滞空しやすくなりますが、 反面、強すぎて離陸すらできないこともしばしばです。 また、山によっては雪のため通行止めになることもあります。
この世界に入って来る人はさまざまですが、 大きくは2つの流れがあるように思います。 1つは大学の倶楽部に入部する新入生で、 関西では阪大や同志社がよく活動しています。 もう1つの流れは社会人の方がスクールを卒業したのち、 そのスクールの卒業生で構成されるクラブで活動するパターンです。 大学の卒業生が卒業後に、 社会人の倶楽部へ参加するパターンもあるのですが、 なぜかそのまま辞めてしまう学生も少なくないようです。そんなわけで、活動している人たちの普段の姿は会社員であり、 自営業であり、学生であるのです。 男女比ではやはり男性が8割以上と多いのですが、 年齢層は18才〜60才とそれなりに広がりがあります。 また、体格の面でもさまざまで、 40kg未満の小柄な女性や80kgの大男もいますので、 体力面が大きななハンデになるとは思いません。 若いほうが、疲れにくい。また、力があるほうが、 運搬や積み下ろしが楽。といった程度であり、 フライト中は力より、経験や勘など内面で左右されます。 そういう意味では、 ゴルフのようなスポーツであるとも言えなくありません。
なお、一般に体重が軽いほうがフライトに有利であるように思われがちですが、 実際は逆で、体重が重い方が機体の選択肢も広く、 より高速な飛行ができて有利なのです。 このため、競技では水袋をバラストとして装備するケースもよく見かけます。
輸送手段としては、やはりマイカーとなります。 市販のキャリアと、 自作のキャリアを運搬時だけフロントバンパーに取り付ける方法が、ポピュラーです。 (普段ははずしている) 実際の活動としては、 朝、ハンググライダーショップに集合したメンバーの人数や 車種によって段取りを相談し、グループで行動するケースが多いので、 機体の保管場所や輸送手段を持たないことが問題になることは、 あまりありません。 |
ハンググライダーは決して一人ではできないスポーツですので、 倶楽部の一員として活動することが前提となりますが、 助け合いが必要なため、 現地では倶楽部間での交流も活発です。 飛べる場所はそう何個所もあるわけではなく、 その日その山に集まるハンググライダー愛好家も、 大抵は30〜60人と少数ですので、 自然と顔見知りになります。 午前中に山頂で準備を整えて、コンデションがよくなるのを待つ間や、 着陸してからの時間は、お互いフライトの話に花が咲くわけです。 少し脱線してしまいましたが、1日の流れは次のような具合になります。 週末が近づくと、ショップにちらほらと電話が入ります。 誰がどこへ飛びに行くと行った情報交換をするためです。 (最近はメーリングリストでの情報交換もあるようです) 朝ショップに集合(遠方へ行く時は金曜の夜に集合)すると、 それぞれのマイカーに乗り合わせて出発となります。 現地に着くと、まず着陸場所に暗黙の了解で集まります。 入山の記帳はもちろんですが、他クラブの人たちとも協力して、 配車を決めるためです。 車で山に登って、全員が飛ぶのですから、 置き去りにされた車を取りに行く車を残しておかなければなりません。 そしてフライト。5分程度しか飛べないか、4時間以上も飛べるかは、 自然相手ですので、 その日のコンデションと各人のテクニックによってまったくバラバラです。 |